2014年10月9日 トルコ首都アンカラ近郊
自転車で世界一周するって事は「なんか壊れていってナンボ」な気がする。
最近では旅する人でブログをしてない人を見つける方が難しいほど猫も杓子も旅ブログをやっていて、自転車旅なんてマイナーな事してる人ももちろんほぼ全ての人がブログを公開してる。
旅の準備期間の時にそういうブログを読み漁っていると
「こんなトコが折れた、壊れた」
なんて記事をよく見たもんだ。
先駆者の各ブログでは
「スポーク(車輪の針金のような部分)が折れた」
だの
「荷台が折れた」
だの、その場では自分では直せないそれなりに面倒なトラブルが結構あるみたいであった。
俺が旅を始めた序盤、というか10ヶ月までは目立ったトラブルってのはなかった。
一ヶ月目で立てかけていた自転車を誤って倒してリヤディレイラーハンガー(後ろ変速機支える部品)を曲げてしまったのと、半年目で中国でこれまたリヤディレラーの小さな部品を紛失してしまったのと、それくらい。
ハンガーは持ってた予備部品とその場で自分で取り替えて、中国でなくしたソレは無くても一応自走可能であったし汎用品なので自転車屋まで走って購入、自分で交換できた。
トラブルなんてその位で、パンクすら10ヶ月間1万キロ走ってゼロだった。
自転車も手持ちのいろんな道具もほぼノートラブル。
「なんで他の人はそんなにトラブルあるんやろ。俺運ええわ。この先も順調にいきそうやな」
と思っていた矢先にご存知タジキスタンでフレーム亀裂。
サイクリストにとってこれ以上無い最低最悪の自転車トラブル。まだフレーム素材が「鉄」であれば現地で溶接出来ないこともないのだけれど、俺のは溶接に高度な設備と技術がいるアルミニウム。今までのノートラブルの運の良さを一気に覆すどんてん返し。
それでまあ一時帰国したわけだけども、日本では傷んだ道具を新品に買い換えたりして
「回復」
に努めていた。ホントは今までの経験に基づいて全面的に装備を一新させたかったけどそれは経済的に無理があるので、これは大切、というものに限って買い換えていた。
その一つが「度入りサングラスのレンズ」
目を保護するのにサングラスは必須なのだけれど俺は視力が極端に悪く日本ではコンタクト+自転車用サングラス。けど長期旅でコンタクトなんて絶対出来ないので度入りサングラスは必須。
運よくメガネの愛眼さんから「新製品のモニター」という事で高価な度入りサングラスを無償提供してもらっていたのだが、1年ずっと毎日8時間位かけつづけているとレンズ表面のコーティングが割れてきていた。
そして一時帰国の際に自費でレンズを新品に交換したのだ。これがレンズだけで2万5000円位。特殊なカーブレンズなので高いのだ。
そしてピカピカで見やすくなったサングラスをかけて再出発してたいのだが、、、
再出発して1ヶ月、サングラスをはずじて畳もうとしたらツルの部分がぐにゃり、ポロ、、、折れた。
2万5000千円かけて新しくしたのに。
フレームはサングラス専業メーカーのSWANS。石川遼のサングラス作ってる会社。ちゃんとメイドインジャパン。素材は軽く丈夫なチタン。フレームのお値段は確か2万円弱だったと思う。安物じゃあ無い。
それが1年であっけなくポキ。
折れるんなら日本帰る前に折れてくれれば。。。
その他にmont-bell製ヘッドランプもスイッチが馬鹿になり点灯しなくなった。
もしかして、来たのか、来てしまったのか、これが自転車旅野郎の「次々にモノが壊れていってブログを賑わす」ってヤツが来てしまったのか。
度入りサングラス自体は無くても旅は出来るし、メガネは二本あるのだが、軽量化の為に装備ってのは少なくどれも壊れたら非常に困るものばかり。しかも日本以外では簡単に手に入らないものが多い。度入りサングラスなんて海外では言葉の壁もあって無理だ。
装備の中でも一番気に入っていたサングラスを失い、なんだか旅へのモチベーションすら一気にどん底になり、
「はよ帰りたいな~。はよ帰るためにゴールまで急ご」
なんて本気で思ってしまったトルコの首都アンカラであった。