メーカー | エイチシーエス(ダンロップ) |
モデル | R-226 |
購入価格 |
22,000円 |
重量 | 2.26kg |
ダンロップブランドのツーリング向けテントR-226
二人用である。
テントもこれまた非常に迷った。
・重さ及び収納時の大きさ
・価格
・色
・快適性
これらのバランスを取るテントはなかなか無かった。最初はモンベルのクロノスドーム2型にしようと考えていた。ただ色が問題だった。鮮やかな水色だったのだ。日本でなら派手色テントでもまったく問題無いのだが、海外ツーリングでは人目を避けてのキャンプになる。
そこで結果ダンロップR-226に落ち着いた。スイカみたいな色が一番微妙だが、赤の彩度は低いので茂みの中や闇ではさほど目立たないと思う。
収納時の大きさはこの位。袋にバンドが付いていて、締め付けて体積を減らす事が出来る。
このようにポール用小ポケットと、本体・フライ用の大ポケットに分かれる
四隅のポケットにポールを差し込んで立ち上げるタイプ。このタイプは一人で設営するのに都合が良い。
ポールはDAC社製。
ポールにフックをかけて本体を立ち上げる。このフックはメーカー曰く「想定内の風なら外れず、想定外の強風ではフックが壊れる前に回転して自動的に外れる」らしいのだが、そんな事よりパチパチと通常の脱着でパキっと折れそう。歴史のある山岳用品メーカーなのでそう簡単に破損するような部品を採用しないと思うが。
天井ポールを配置する事で本体天井部分が広がり居住性が上がる。狭苦しさをあまり感じない。ただこの接続部分も樹脂製なのがちょっと心配。
両側に出入り口があり、夏場平地では風が抜けて快適。ここがこのテントの一番の利点ではなかろうか。背面ドア側前室を荷物置き場にして、前面ドアは出入り専用と使い分ける事も出来るのも良い。あまり無いと思うが二人で使う時も相手に気兼ねなく出入りが出来る。
ジッパーは直線で壊れ難い構造というのもポイント。もちろんジッパーはYKK製。写真には写ってないが出入り口は当然メッシュにも出来る。
広さは寝袋二つを十分広げられるくらい。一人だと広々使える。悪天候で閉じ込められても天井が広いのもあって快適に過ごせそう。
前室は前後に二つ。天井ポールの張り出しがあるので前室もやや広め。荷物置き場としては十分の広さだろう。フライ前室部分に何故かメッシュの小物入れがある。
試し張りしただけでまだ使っていないが作りはさすが伝統あるメーカーだけあってしっかりしている。付属のプラペグはちょっと使えない。嵩張るのでアルミのYペグに買い替え必須だろう。
総じて満足出来るツーリングテントだが、しかしなんでこんな配色にしたのだろう。赤の生地余ってたのだろうか。もうちょっと自然な配色にしたら売れそうなのだけれど。
ウイグル自治区&中央アジアではほとんどキャンプだった。
暴風吹いた荒野から標高4000m以上まで、使い倒したこのテント
ここらでインプレを紹介したい。
居住性★★★
両面ドアがある事により風が通り開放感もあって居心地は非常に良い。前室も両側ドアにあり、片側に荷物、片側で調理など使い分けられる。ここらへんは価格帯が同じで競合するモンベルよりも良いポイント。モンベルのテントもインナーの入り口反対側に大型の通風口が開いてるものの、フライは開かないので夏場などは暑いはずだ。
雨にはあまり遭わなかったが、地面が草などでは水が染み出す訳ではないものの底面が少し湿気を帯びる。朝起きてスリーピングマットしまう時に裏側がしっとりしてる。一応グラウンドシートも敷いてたのだけれど。昔使ってたコールマンのツーリングテントはそのような症状はなかっただけに残念。
それとフライとインナーの距離が近いので結露するとくっついてしまう。ここらへんはメーカーも分かってるだろうに、改善してほしいポイントだ。
収納性★★★
収納袋は1つ。ベルトで圧縮出来るのでよりコンパクトにする事が可能。
耐風性★★★★★
遮蔽物の無い荒野で夜間に強風(体を斜めにしないと立ってられない程の強風)に見舞われテントは風で形が大きくたわむほどであったが、ポールがうまくしなってくれて崩壊せずに済んだ。X型にフレームを組むテントならではの耐風性だと思う。
重量★★
メーカー値で2.2kgであるが、これにグラウンドシート(非純正)とモンベルのアルミYペグ14本加えると2.8kgになる。
・総評
日本を旅するのなら前後ドアがついているので夏場も使える万能モデル。買って損はしない。しかし自転車世界一周となるともうちょっと小型で軽い方が良いと思う。居住性考えて2人用にしたが、世界一周だと居住性よりも軽い方が優先される。
だいたいキャンプする時って夕方に着いて朝には出発、それだと夕飯食べたらすぐ寝てしまう生活だ。
連泊するってのはキャンプ場であるとかそういう時に限られる。テントの中では基本的には寝転がってるし、荷物は前室に出しているし、広さは1人用で十分。その分軽くなり、走行が楽になる。
「1日の疲れを癒すテントは居住性が大事」
という意見もあるが、疲れを癒す為に重いテントを持ち運ぶなんて本末転倒もいいところだ。
もっと軽い小さなテントが欲しいんだが、そうしたテントってベラボーに高いんでおいそれと買えないんよね。
2015/08/30 追記
旅も二年経ち、このテントもたぶん300泊程度は使っていると思う。
本当に良いテント。特に両面ドアはめっちゃ使い易い。前後どちらも「前室」として使えるおかげで室内を広く使える。そして暑いところでも前後ドア開けられるので風通しもよい。ドア一枚だとテントというのはいくら日陰に建てたとしても蒸し風呂になるものだ。モンベルのテントは後ろ側に通気用として大きなメッシュがついているけども、メッシュってほとんど風通さないし、そして後ろ側のフライも開ける事出来ないんでほとんど意味は無いのではないかと思う。
ただこのテントも完璧、という訳ではない。一番ダメだなあと思うのは底面生地の耐水性の低さ。完全に中まで染みてくるわけでもないけど、完全に水を遮断出来てない。
そして売りの一つであるドアの直線状のジッパー。「直線状のジッパーは壊れ難い」という触れ込みだったが250泊くらいの頃からダメになりつつある。スライダーを単にひっぱるだけだと閉まらなくなった。こじる様にひっぱらないと閉じない。ジッパー自体はYKK製なのだが、もうちょっとグレード上のジッパーを使ってほしいものだ。
それ以外にはいかにもモロそうなポールにひっかける青いフックも折れていないし、今のところ300泊くらいではまだなんとか使える状態だ。
日本で盆休みとかにたまに使う分だとまあ問題なく使え続けることができるだろう。
2015年10月 追記
アンデス山脈横断中についに完全に出入口ジッパーが使えなくなった。それ以外は問題なく使えるのでどうしたものかと思っていたら、テントの収納袋のジッパーが同じ規格のもので、そのスライダーを取り外してテント本体に移植したら問題なく使えるようになった。もしかしてそれを見越して収納袋にジッパーがついてたのか?!恐るべしHCSの用意周到さ。
スライダー引いても閉まらない状態。
テント収納袋のジッパー。ポール収納部とテント本体収納部と2個ある。
収納袋は最終的にはロール状に締め上げるのでこのジッパーがなくても問題はない。
取れた。
テント本体側も取り外す。スライダーの内側が磨耗しているようだ。
ややてこずったが、入った。
スライダーが抜けないようにジッパー末端に布を縫い付ける。
完成。
数年におよぶ旅ではテントのジッパーに不具合起こる可能性が高い。スライダーは日本であれば簡単に手に入るので予備を持っていく事をお勧めする。
2016年7月旅終了時における総括
収納時および設営時はやや大きいし重いが、使い勝手は非常に良かった。値段も馬鹿高いものでもないのも良い。「長期旅は余裕のある二人用のテントが良い」と言われるが、その分大きく重くなるし個人的には一人用のテントの方が良かったと思う。しかし一人用のテントで前後にドアがあるというものは見つからない。長期世界周ると絶対に暑いところを旅する事になる。その時に前後ドア無いとテント内に熱がこもってめちゃくちゃ暑くなる。
モンベルのツーリング向けテントで一人用で前ドア後ろに大型メッシュ窓というのがあるが、フライも開閉出来なければいくらインナーに大型窓があったところで風がスムーズに通らないと思う。暑い時はなんとか後ろ部分をまくり上げて使う、という方法があるのかもしれないが試してないのでわからない。
一人用で前後ドアがある、というモデルが無い以上、僕の持っていったダンロップのこのテントが自転車旅には今んとこ最も向いてるのではなかろうか。
なお、ペグダウンしないと使えない代わりにフレームが少なく軽く小さく収納できる非自立式テントも海外モデルを中心によく見られるが、テント張る場所がペグダウン出来る地面に限られるというのが僕にはキツイ。道路下のトンネル状の場所などは地面がフラットで直射日光も人目も避けられて野宿に非常に良いところのだが、地面がコンクリである事がほとんど。そういうところでは当然非自立式テントは使えない。魅力的なテントも多いが、山野をトレッキングする人用のテントなので、海外長期自転車旅にはあんまり向いてないのではないだろうか。