DAY 3~『ひとりじゃない』~

港町バタンガス。ミンドロ島への玄関口となる町だ。マニラから100キロ。

朝バスに乗れば当然のようにこの町から船に乗り、ミンドロ島へと着く。

一人旅でバスに乗ると、誰とも話す事もなく旅が進む。車窓から見える人たちは、
風景の一つとして後ろへ流れ去っていく。そしてバスを見る人たちも、その乗客に
関心を払う人はほとんどいないだろう。

雨宿り中
雨宿り中
そして僕も一人旅だ。けど、この町まで来るのにいったい何人の人たちと話し、
手を振り、振られ、声を掛け合っただろう。助けてもらっただろう。笑顔を貰っただろう。

マニラを朝8時過ぎに出発した。回線契約してないスマホのグーグルマップに予め走行予定の地図を読み込ませていたのでまずは迷う事なくバタンガス方面への国道に入る事が出来た。
ここらへんは4-5年前の自転車旅行者と大きく変わるところだ。
ルソン島ではセブンイレブンをよく見かけた。道中のオアシス
ルソン島ではセブンイレブンをよく見かけた。道中のオアシス
地図通りに進んでいくと、日本でも見慣れた高速料金所が見えてくる。
すると警察官が近づいてきた。

「ここは自転車は走れないよ。一般道まで連れていくからついてきなさい」

と、路肩を歩いて先導してくれた。前から突っ込んでくる
対向車に大きく腕を振って全部車線から遠ざけてくれる。

走っていた道は人家が途切れる事がなかった。
そして、ほとんど全ての人がこちらに注目してくれる。
「ナイスバイク!!」
声をかけてくれる。こちらから手を振ったり、親指を立てて「グッド!!」サインをすると必ず返してくれる。このジェスチャーはフィリピンでは良い意味として一般的なようだ。
セブンでは肉まん売ってる。スポーツドリンクと合わせて自転車旅の強い味方。
セブンでは肉まん売ってる。スポーツドリンクと合わせて自転車旅の強い味方。
全般的に登り気味の行程で、ペダルは重い。まだリカンベントに必要な筋力も未熟だ。

けど、こうした声援が車体を後ろから押してくれる。確かに体力的にはすごく疲れる。なにしろ走行初日だ。

けど、だからこそ、こっちから大きな声で手を振る。笑顔が返ってくる、僕も笑顔になる。

ペダルを漕ぐ気力が増す。

少しずつ積み重ねていった高度を港町まで25キロの時点から一気に解放、最高時速50キロ以上で駆け抜ける。
5時過ぎにバタンガスに着いた。けど、ガイドブックの類は持ってなく、道行く人に聞いたら安いホテルに連れていってくれた。そしてフロントが3階なのに、彼と、
たまたまホテルの入り口の前に居た人が自転車をフロントまで上げてくれた。

フィリピン。僕はこの国を一人旅している。けれど、

「ひとりじゃない」

そんな気がしている。

スタート地点として、良い選択だったようだ。

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