朝ベランダで歯磨きしながら道路を見下ろしているとピーピー笛を鳴らしながら大集団が行進してきました。
1kmはゆうに越える大集団。
割と整然と並んでいるし、ほとんど全てが中高、それに大学生の制服の集団、中には民族舞踊の衣装着こんだ人たちも居たので今日は何かのお祭りなのかと思っていました。
しかしそれにしてはトラックの荷台からマイク持ちながら何やら演説調の大絶叫している人もいるし、タイの国旗を振りまくってる人もいる。
そして集団の最後尾に黄色いシャツを着た大人の集団を見て分りました。
反タクシン派つまり反政府デモみたいです。
昨日のニュースで今日12月9日が最終決戦デモという事で地方でも大人数を動員して庁舎を取り囲む行動に出るとかなんとか書いてあるのを読んだのですが、ここチュムポーンでもやはりやるようです。
早速身支度して付いていく事に。町の人たちの声援を受けながら延々と続く行列、なんだか全然関係ないのにこっちまで高揚した気分になってきてしまいます。
「全共闘の人たちはこんな気分だったのかも」
なんてワクワクしながら数キロ一緒に歩きます。ピックアップトラックのドライバーは歩いてる中高生を
「オマエらも行くんだったら乗りな!」
なんて言いながら拾っていき、あげくにバイクのライダーからも
「日本人か?デモに行くんなら後ろに乗せてやるぜ」
なんて事も言わました。
(デモというよりお祭りという雰囲気がお分かりでしょうか)
県庁らしい大きな庁舎に着くとそこには既に大きなステージが組まれており野党の幹部らしい人がさかんにアジテーションを絶叫し、それに応える賛同者たち。
拍手ではなくピーピーと笛で応えるのがここタイのやり方みたい。
言ってる事はもちろん全然分んなかったのですが、それでも場の雰囲気は何か異常に過熱して飲まれてしまいそう。
しかしそこでなんだか鼻腔を擽る良い匂い。僕の大好きな豚の串焼きの匂いです。
なんでデモが最高に盛り上がってるこの時に?
そして匂いを辿っていくと分りました。やはりここはタイだったのです。
デモだろうとなんだろうと人が集まるところに屋台が出る。
串焼きにフレッシュジュース、宝くじにTシャツ屋。なんでもござれの屋台オンパレード。
Tシャツを吟味し、面白そうなピンバッジが無いか探し、子どもと一緒に綿菓子が出来る様を夢中になって見ていました。
そして気づけば左手にビール、右手に豚の串焼きが。
ほろ酔い気分で帰路に着くと
「あれ?俺何しに来たんだっけ?」
そこにはまぎれも無くタイ人になってしまった自分が居たのでした。