燃料にガソリンを使うコンロを持ってきています。キャンプの食事の時に使いますし、紅茶を飲む時にも大活躍。バックパッカーだったら簡単なコイルヒーターで事足りるんですが、一定期間電気も水道も無い世界を独力で生き抜いていかないといけない自転車旅人には、車が走っている所なら世界中どこでも手に入るガソリンを燃料とするコンロがやっぱり頼りになります。
もっともネパールでは1日の半分以上は停電しているのでコイルヒーターもあまり頼りになりませんが。
このガソリンコンロ、燃料ボトルにガソリンを入れて蓋の部分についてるポンプ加圧して内部の空気を高圧に圧縮してから使います。圧縮された空気をボトル内に作る事によってガソリンがバーナー部分へと噴出される訳です。うまいこと出来ていて炎の色はガスコンロと同じ青色。液体のガソリンを直接燃やしているのではなく一旦霧状にしてから完全燃焼させる作りのようです。
なんたってキャンプの本場アメリカ製で1万数千円もする高価なものですから。
そんな高性能なコンロもガソリンがないと当然ただのガラクタ。日本でも時折使っていたのですが話はコイツの給油についてから始まります。
ガソリンといえば普通はガソリンスタンドに行くと思います。日本で僕もこのボトルを持ってガソリンスタンドに行きました。満タンにしても500ml位の容量ですんでちょっと申し訳ないと思いつつ近所のスタンドに行って給油を頼むと
「何に使うんですか?消防法により自動車か、もしくは専用の携行用ガソリンタンクにしか給油出来ません。」
と無表情の店員。
「キャンプで調理とかに使うガソリンボトルです」
と僕が言うと
「この容器、蓋に空気穴がありませんね。ガソリンは揮発するので空気穴が無い容器に入れると膨張して事故につながります。何かあったらウチが責任問われますんで」
と無表情が明らかに迷惑顔になる店員。
今度は取扱説明書持参で別のスタンドに行ってようやく「特別ですよ」と言われて「すみません」と腰を低くしてガソリンを買わなければなりませんでした。
確かにガソリンはすぐ揮発・蒸発してペットボトルとかに入れると破裂するかもしれませんし、自動車以外にガソリン使うなんて「もしかしたら放火とかに使うのかも」と考えるのも分からないでもありません。
これがインドだと、ボトルを差し出し
「500ml入れて」
というと
「OK!」
で終わりです。
ここではインドの方が自然な気がします。
ガソリン買った人がその後何か事件を起こしたり、事故が起きてガソリンスタンドに責任を追及する日本って何かおかしい。何かにつけても全てきっちりしすぎな感じがします。
けど、その日本のきっちりさは日本の製品に目を向けると手放しで賞賛してしまう僕もいます。
例えばガムテープ。ホームセンターなんかに売ってる普通のガムテープです。
アレ、すごいくっつくと思いません?日本のものだけ使ってると実感無いかもしれません。
自転車空輸時に梱包でテープが必要なのですが、途上国のテープって本当!!!!にくっつかないんです。こっちだと黄土色したあのガムテープはまず見かけなく、セロハンテープの幅広い版みたいなの。日本のものだとテープがダンボールに触れただけでくっつきますが、こっちのテープは手で押し込んで叩いてそれでもスルスル剥がれるので爪でぐりぐりひっかくようにしてもまだ不安。結局全面的ダンボールをテープでぐるぐる巻きにする必要がある位です。
単なるテープですら品質が低い。それは技術水準が低いのか、それとも高品質にすると高価になってしまって購買力の低い自国市場では売れなくなるからか、もしくはテープなんてこの程度でいいだろうというテキトーな考えなのか。
ガソリンスタンドに行き過ぎた「日本のきっちりさ」が僕を「なんやねんこの国」と思わせ、単なる梱包用テープに「日本のきっちりさ凄い!」と思わせました。
海外を旅していると例えばインドで無愛想な店員がお釣りをテーブルに投げて返してきたりする折「日本ってサービスすんごい良かったなあ」と常々思い出されますし、長期旅を快適に支える高機能アイテムが途上国では手に入らず日本から送ってもらった事も既に何度かあります。
行過ぎたきっちりさは不快だけど、かといって途上国みたく緩くなり過ぎて低品質な製品しかなくなくるのもやっぱり嫌です。
そこらへん上手くバランスとっていける国が幸せの一つのバロメーターかな、なんてガソリンスタンドとガムテープとで思ってしまったインドでした。